窓を開けると、柔らかい風が入ってきます。

少し前までの冷たさはもうなく、

春の香りを運んでくるような、優しい風です。

三月も半ばを過ぎ、季節はすっかり春めいてきました。

今月の六日には、二十四節気の一つである

 「啓蟄(けいちつ)」を迎えました。

冬の間、土の中で眠っていた虫たちが

目覚めて外に出てくる頃を表す時節です。

実際に虫を見かけることはまだ少ないかもしれませんが、

地中では確実に、春に向けた準備が始まっているのでしょう。

そして来週二十日には、春分の日を迎えます。

昼と夜の長さがほぼ同じになる日。

冬至から少しずつ伸びてきた日の長さが、

ついに夜の長さと並ぶのです。

ここから先は、昼の方が長くなっていく。

そう思うと、なんだか気持ちも明るくなりますね。

春分を中日として、前後三日ずつ、

合わせて七日間が春のお彼岸です。

今年は十七日から二十三日まで。

お墓参りをされる方も多いでしょう。

春の穏やかな陽気の中、

ご先祖様に手を合わせる。

そんな静かな時間も良いものです。

この時期、自然からの春の便りも次々と届きます。

梅の花はそろそろ終わり、

桜の開花予想が話題に上るようになりました。

もうすぐ、あの美しい桜を見られると思うと、

心が浮き立ちます。

朝晩はまだ少し肌寒い日もありますが、

日中は上着を脱いで歩けるほど。

風も、冷たい冬の風ではなく、

柔らかい春風に変わってきました。

春の便りは、一度に届くのではありません。

少しずつ、少しずつ、増えていく。

気がつけば、周りは春だらけになっている。

そうしてまた、季節は移り変わるのですよね。

毎日の中で、小さな春を見つける。

それが、この季節の楽しみです。

散歩をしながら、ふと足元を見れば、

小さな花が咲いているかもしれません。

空を見上げれば、

雲の形が冬とは違っているかもしれません。

春は、もうすぐそこまで。

いえ、もう来ているのかもしれませんね。

美しい小さな春の便りが、

皆様にやさしく寄り添うことを願って。